クロワッサン / 2022.01.08

ご存知ですね？鎧塚俊彦氏を。

元日の、某バラエティ番組で結構話題にもなりましたが、私も、名前しか知らないに等しかったこの方を、それなりに知るようになったのは、一昨年くらいに拝見した、その番組のいちコーナーで、でした。

眼差しの優しさや、そっと話される雰囲気に、この人が鎧塚シェフなのか、そうなのか…、と思ったことは強く記憶に残っております。そして、このひとの作るものを食べてみたいなぁ、そう、切望したことを。

それからあっという間に月日は流れました。

銀座から日本橋を目指して歩いていた、風のめっちゃ強い日に、それこそ強風に追いやられるように、逃れた店先のガラスにはToshi Yoroizukaのロゴが。

ちょっとだけ声を上げてしまいました。

その日はお店の場所を確認するだけで終えざるを得なかったのですが、後日、訪れて、ようやく手にすることができました。

あの、憧れのトシのクロワッサンを

正直申しますと、今、この記事を書いている2022年1月4日現在、目の前にいらしたら、私確実に感涙を号泣バージョンでお送りできるほど、わけのわからない思いを抱いているお方であるのに、トシ、とか言って、本当にすみません、すみません。

とにかく、いただいたのです。

クロワッサンを。

まず、このクラストの感じ、そして重ねられた層をご覧ください。

噛んだ瞬間にはクシャっとなるのかな、ハラっと薄い層が壊れるのとは違うだろうな…とか思いつつ眺めました、この丁寧な仕事を。

リベイクしたら、ごめんなさい、ちょっとだけこんがりさせてしまいました。

バターの香りは強くはありません。

返してみても、テラテラと油分が滲み出ているなーなんてこともありません。

バター好きとしては、物足りないのではあるまいかと、正直思いました。

鼻から息を吸い込みながら、食みました。ええ、思いっきり。

その瞬間、私、別の部屋で仕事をしていた同居人の元へ駆けつけておりました。

「すごいの！食べてみて！優しいの！！

　優しい味って、パン食べて思ったの初めて！」

正確な言い方はすでに記憶にありませんが、そんなことを大きな声で伝えながら。

この断面というか、噛み口だけどさ、みたら分かると思いますが、

バターの風味、香り、ともに十分にきちんと感じることができたのです。

濃厚な、言うなれば、濃厚過ぎる、そういうクロワッサンばかりいただいてきて、それを是としてきた傾向も確かにありますし、クロワッサンてそもそもそういうものだよね、ヴィエノワズリなんだから、と。

そもそも、何個もポンポン食べるものではない、とは思いますけどね、私はクロワッサン、3個とか一度に食べていたわけですし、バター大好きを豪語している身といたしましては、エシレのクロワッサン、2個目に行くの無理だな、って思ったときに本当に切なさが襲いかかってきたんです。

だけど、この、鎧塚シェフのクロワッサンは、3個でも、優しい味だ…とふるふるしながら美味しくいただけると思いました。

それも、バター感が少ないから、とかじゃないのです。

まろやか？まろみ、個性としてとがる部分が一切ないのです。だけど、個性がないってこともないのです。だって、こんなやさしいく美味しい味わいのクロワッサン、食べたことがないんだもの。

誰かの作ったものを、あんな風に審査する方の作られたものを、あれこれ言えるような私ではないのは重々分かっておりますし、他のものだって同じような誰かの作ったものです。評価とかそういう上から目線のジャッジもどきであってはならないと、改めて強く思いつつ、言いたい。言わせていただきたい。

味わいに、人柄は出るのだな…、本当に美味しいな。やさしいなぁ。

ありがとう。ごちそうさま。

クロワッサン

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